初代ARK(ARK: Survival Evolved。以下ASE)の専用サーバーは、steamcmdで無料ダウンロードでき、Linuxネイティブで動きます。Wine・Protonが必要なリメイク版ASAと違い、安価なLinux VPSでそのまま立てられるのが大きな利点です。この記事では、VPSテンプレート・steamcmd直接構築・arkmanagerの3ルートを解説します(2026年8月時点)。直接構築のコマンドはUbuntu 24.04の検証環境で実行し、サーバーの起動とポート待受まで確認済みです。

ASEサーバーの基礎

  • サーバーアプリは無料。steamcmdの匿名ログインでダウンロードできる(App ID 376030)
  • Linuxネイティブ版があり、Ubuntuでそのまま動く(glibc 2.17以上)
  • 使用ポートはUDP 7777(ゲーム)・UDP 7778(ピア。ゲームポート+1)・UDP 27015(クエリ)と、必要な場合のみTCP 27020(RCON)
  • メモリはマップ依存。The Islandは空サーバーで3.5〜4.5GiBが目安(公式コミュニティWikiより)
  • 本体は大容量。ダウンロードは実測で約21.4GiB

ASEとASA、どちらを立てるか

ARKには初代ASEとリメイク版ASA(Survival Ascended)があり、サーバー事情が大きく異なります。

ASE(本記事)ASA
サーバーアプリLinuxネイティブ・無料Windows専用(Proton経由で動かす)
メモリ目安空サーバー3.5〜4.5GiB(The Island)約13GiB
VPSプランの目安8GB16GB以上
テンプレートConoHa for GAME・XServer VPS for GameにありNitrado以外での商用提供なし

グラフィック強化された最新版で遊びたいならASA、費用を抑えて安定運用したいならASEが現実的です。ASAを立てる場合はASA専用サーバーのLinux VPSでの立て方を参照してください。

方式の選び方

方式向いている人難易度
方式1: VPSテンプレートコマンド操作を避けたい低
方式2: steamcmdで直接(推奨)仕組みを把握して長く運用したい中
方式3: arkmanagerで管理更新・バックアップまで自動化したい中

当サイトの構築記事は普段Docker方式を推奨していますが、ASEではDockerを推奨しません。かつて定番だったイメージ(thmhoag/arkserver・スター120)は2023年にアーカイブされました。現在も更新が活発なイメージはスター29と実績が小さい状況です。ASEはLinuxネイティブで直接動くので、無理にコンテナ化する必要もありません。

前提と必要スペック

  • OS: Ubuntu 24.04 LTS(方式2・3の前提)。VPSの初期設定はゲーム用VPSの初期設定を参照
  • メモリ: The Islandの空サーバーで3.5〜4.5GiB(Wiki)。当サイト実測も空サーバーで約3.6GiBだった。8GBプランが現実的な下限(ConoHaテンプレートも4GB必須・8GB以上推奨)
  • ディスク: ダウンロード実測は約21.4GiB(インストール後22GiB)。空き30GB以上を確保したい

方式1: VPSテンプレートで立てる(いちばん簡単)

ConoHa for GAME

イメージ一覧の「ARK」テンプレートはASE(Survival Evolved)対応です。

  • メモリ4GB以上のプランが必須で、公式は8GB以上のプランを推奨
  • 接続はSteamクライアントの「表示」→「ゲームサーバー」→「お気に入り」にサーバーのIPアドレスを追加し、ゲーム内のセッション一覧(お気に入り)から参加する方式
  • テンプレートの中身はsystemdサービス(/etc/systemd/system/ark-server.service)+GameUserSettings.ini。カスタマイズはSSH接続で編集する(セキュリティグループの追加設定が必要)

XServer VPS for Game

「ARK: Survival Evolved」イメージがあります。

  • 4GB以上のプランで利用可・スムーズなプレイには8GB以上推奨
  • 「追加申し込み」のアプリケーションタブから選択すると自動インストールされる
  • 接続はコンソール表示のIPアドレスと参加パスワードを確認し、ConoHaと同じくSteamの「お気に入り」に登録して参加する
  • 再起動時に自動アップデート

方式2: steamcmdで直接立てる(推奨・実機検証済み)

steamcmdを導入する

steamcmdパッケージはUbuntuのmultiverseセクションでi386(32bit)向けに提供されています。

sudo add-apt-repository -y multiverse
sudo dpkg --add-architecture i386
sudo apt update
sudo apt install -y steamcmd

インストール中にSteamの利用許諾への同意画面が表示されます。「I AGREE」を選択してください。以降はPATH問題を避けるためフルパス/usr/games/steamcmdを使います。

専用ユーザーを作成し本体をダウンロードする

sudo adduser --disabled-password --gecos "" steam
sudo -u steam /usr/games/steamcmd +force_install_dir /home/steam/ase-server +login anonymous +app_update 376030 validate +quit

Success! App '376030' fully installed.と表示されれば完了です。本体は約21.4GiBと大容量のため時間がかかります(検証環境では約14分。回線次第でもっとかかります)。

起動して確認する

まずは手動で起動し、動作を確かめます。サーバー名・パスワードは自分のものに置き換えてください。

cd /home/steam/ase-server/ShooterGame/Binaries/Linux
sudo -u steam ./ShooterGameServer "TheIsland?SessionName=MyArkServer?ServerPassword=joinpass?ServerAdminPassword=adminpass" -server -log

先頭のTheIslandがマップ名です(The Center等に変えられます)。起動直後のコンソールは次の2行程度しか表示されず、数分間フリーズしたように見えますが、そのまま待ってください。

[S_API FAIL] SteamAPI_Init() failed; SteamAPI_IsSteamRunning() failed.
Setting breakpad minidump AppID = 346110

検証環境では、この状態から約5分でUDP 7777・27015の待受が始まりました。起動完了後は7778を含む3ポートをサーバープロセスが待ち受けます(S_API FAILの警告が出たまま正常起動)。Ctrl+Cで停止できます。

設定ファイルを編集する

倍率などの常用設定は、起動引数に足すよりもGameUserSettings.iniへ書くのが公式コミュニティWikiの推奨です(systemd運用と相性がよいため)。初回起動後に生成されます。

sudo -u steam vim /home/steam/ase-server/ShooterGame/Saved/Config/LinuxServer/GameUserSettings.ini

systemdで常時起動にする

SSHを切っても動き続けるようにします。ASEはopen files上限に引っかかりやすく、公式コミュニティWikiもLimitNOFILE=100000の指定を推奨しています。検証環境で起動・ポート待受を確認した構成です。

sudo tee /etc/systemd/system/ase-server.service <<'EOF'
[Unit]
Description=ARK: Survival Evolved Dedicated Server
After=network-online.target
Wants=network-online.target

[Service]
User=steam
WorkingDirectory=/home/steam/ase-server/ShooterGame/Binaries/Linux
ExecStart=/home/steam/ase-server/ShooterGame/Binaries/Linux/ShooterGameServer "TheIsland?SessionName=MyArkServer?ServerPassword=joinpass?ServerAdminPassword=adminpass" -server -log
LimitNOFILE=100000
Restart=on-failure

[Install]
WantedBy=multi-user.target
EOF
sudo systemctl daemon-reload
sudo systemctl enable --now ase-server
systemctl status ase-server

アップデートの手順

サーバーを止めて、ダウンロードと同じコマンドを再実行するだけです。

sudo systemctl stop ase-server
sudo -u steam /usr/games/steamcmd +force_install_dir /home/steam/ase-server +login anonymous +app_update 376030 validate +quit
sudo systemctl start ase-server

方式3: arkmanagerで管理を楽にする

arkmanager(ark-server-tools)は、ASEサーバーのインストール・更新・起動停止・バックアップをコマンド1つずつで扱えるLinux用の定番管理ツールです。GitHubスター727・2026年7月更新と現役です。

READMEの案内どおり、インストーラーを実行します(引数はサーバーを動かすユーザー名)。

curl -sL https://raw.githubusercontent.com/arkmanager/ark-server-tools/master/netinstall.sh | sudo bash -s steam

検証環境では、このコマンドでインストールとarkmanagerコマンドの動作(バージョン表示)まで確認しました。主なコマンドは次のとおりです(READMEより)。

コマンド動作
arkmanager installサーバー本体のダウンロード
arkmanager start / stop起動・停止
arkmanager update本体の更新
arkmanager backupワールドと設定の圧縮バックアップ
arkmanager status稼働状態の表示

設定は/etc/arkmanager/arkmanager.cfgと、インスタンスごとの/etc/arkmanager/instances/<名前>.cfg(インストール先やポートを指定)です。方式2で手動運用に慣れたあと、更新・バックアップを自動化したくなったら導入を検討してください。

ポート開放と接続方法

ufwでゲーム・ピア・クエリの3ポートを許可します(RCONのTCP 27020は必要時のみ。外部公開しない運用が安全側です)。

sudo ufw allow 7777/udp
sudo ufw allow 7778/udp
sudo ufw allow 27015/udp

VPS側のパケットフィルターがある場合はそちらでも許可します。「2つの関門」の考え方はゲーム用VPSの初期設定で図解しています。

参加者への案内は、ConoHa公式マニュアルでも案内されている「Steamのお気に入り」方式が確実です。

  1. Steamクライアントの「表示」→「ゲームサーバー」→「お気に入り」を開く
  2. 「サーバーを追加」でサーバーのIPアドレス:27015を登録する
  3. ASEを起動し、セッション検索の「セッションフィルター」を「お気に入り」にしてサーバーへ参加する

よくある質問

メモリはどれくらい必要ですか

The Islandの空サーバーで3.5〜4.5GiBが公式コミュニティWikiの目安です。当サイトの実測でも空サーバーで約3.6GiBでした。プレイ人数と建築量で増えるため、8GBプランを下限に考えてください。

サーバーがゲーム内の一覧に出てきません

非公式サーバーはSteamクライアントの「お気に入り」経由で探すのが確実です。IPアドレス:27015(クエリポート)で登録し、UDP 27015が開放されているかも確認してください。

サーバーを立てるのは無料ですか

サーバーアプリ自体は無料で、steamcmdの匿名ログインでダウンロードできます。VPS代などマシンの費用だけかかります。

まとめ

  • ASEのサーバーはLinuxネイティブ+無料配布。ASAより軽く、8GBプランから現実的に立てられる
  • テンプレートはConoHa for GAME(ARK=ASE・8GB以上推奨)とXServer VPS for Gameにあり
  • 直接構築はsteamcmd(App 376030)→ShooterGameServer起動→systemd化(LimitNOFILE=100000)の流れ
  • ASEに限ってはDocker非推奨(定番イメージがアーカイブ済みで、活発な後継も実績小)
  • ポートはUDP 7777・7778・27015。参加者にはSteamお気に入り(IP:27015)を案内する

ディスク30GB以上・メモリ8GB以上のVPSを用意して、まずはテンプレートか方式2で試してみてください。

参考リンク